林 譲 

エクセルを用いた統計学実習

 新たに開発した分析法,薬などの効果を調べるときに有意差検定は欠かせません。しかし,95%信頼区間,5%危険率などにある%の意味を理解することは易しくはありません。理由の一つとして,t分布が現実には得られないことが挙げられます。そこで,Excelの乱数発生機能を用いたモンテカルロシミュレーションによりt分布、χ 2乗分布を作製し,体験的に有意差検定を理解する講義を提供します。幾つかの大学における講義録です。
第0章 まえがき、目次、参考文献
第1章 一様分布の統計量の推定(サイコロ実験)
第2章 正規乱数と正規分布
第3章 平均の区間推定
第4章 標準偏差の区間推定

希釈の不確かさ

 ある濃度の溶液を2倍に希釈する場合,1mLの溶液をピペットで採取し1mLの溶媒を加えるか(ピペット希釈),2mLのメスフラスコに1mLのピペットで採取した溶液を入れメスアップするか(メスフラスコ希釈)は迷うところです。同じ希釈をくり返した場合,どちらの方法がばらつきが少ないかを問題にします。希釈後の溶液の体積は,ピペット希釈では最初に採取した溶液の体積に依存しますが,メスフラスコ希釈では依存しません。つまり,精度に関しては,希釈の構造が異なるのです。
第1章 希釈の不確かさの講義
第2章 希釈の不確かさの計算例

一様乱数から正規乱数を作る

 0から1の間の一様乱数から,平均0で標準偏差1の正規乱数を作るには,12個の一様乱数の値を足して,6を引けばよいのです。この方法は,中心極限定理に基づいています。

分析化学

 大学の講義で配布した短いまとめです。
酸塩基平衡
滴定

ELISAの不確かさ

 2002年ころ,昭和大学薬学部の前田昌子先生(当時)から「競合法ELISAの検量線は直線ではない。そのため検出限界の定義がない。」とお聞きし,共同で検出限界を推定する方法を開発しました。検量線は測定値を定量値に変換する関数です。以前は,検量線を使う前の測定値に対して検出限界を定義していたので,我々は検量線後の定量値に対して定義することにより,この問題を解決しました。
  我々の研究は,次の規格に採用されています:JIS K 0461 競合免疫測定方法通則;JIS K0462 非競合免疫測定方法(サンドイッチ法)通則;JIS K 0463 アリル炭化水素受容体結合レポーター遺伝子アッセイ通則―ダイオキシン類のAhRアッセイ;JIS K 0464 ポリクロロビフェニル(PCB)の免疫測定方法通則;ISO 11843-5 Capability of detection ‐ Part 5: Methodology in the linear and non-linear calibration cases;JIS Z 8462-5 測定方法の検出能力―第5部:検量線が線形及び非線形である場合の方法。
第1章 はじめに
第2章 
 1.くり返し分析による不確かさ推定の問題点
 2.非競合ELISA 法の不確かさ
 3.競合ELISA 法の不確かさ
 4.測定値(吸光度)の不確かさと定量値(濃度)の不確かさ
第3章 
 1.検出限界の一般的定義と解釈
 2.ELISAにおける検出限界の問題点と提案
 3.検出限界と定量限界の求め方
 4.検出限界を求めるための条件
 5.B/B0曲線の片対数プロットの傾きから検出限界を求める方法
第4章 参考文献
第5章 付録:数式の導出